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●パンツの歴史●
パンツ(=ズボン)の起源は、紀元前6世紀ごろにペルシア人がはいていたものといわれています。それが西アジア、小アジア、シリア、ゲルマン、そしてローマなどへ伝わりました。機能性や防寒性に優れていたので労働者はもちろん、馬に跨りやすいとして騎馬民族に特によく広まりました。逆に、ヨーロッパの貴族には野蛮だとして見下されていたようです。
17世紀のイタリアでパンタロンと呼ばれるゆったりした長めのズボンが生まれ、農民や労働者階級、そして兵士たちの間で使用されました。ちなみに、パンタロンの名前の由来は、4世紀ごろにベネチアにいた守護聖人パンタローネのトレードマークがだぶだぶのズボンだったからといわれています。16世紀半ばにイタリアで流行していた喜劇の舞台のある演目で、ケチで好色というベネチア人のイメージの典型であるパンタローネという男の役がありました。その衣装に聖人にちなんだだぶだぶズボンを使ったところ評判を呼び、パンタローネはベネチア人の代名詞にもなりました。
一方、貴族の男性たちの間では下半身の線を見せることこそが美と考えられており、キュロットと呼ばれる体にぴったりフィットする膝丈のズボンをはいていました。
脚の線を隠す庶民御用達のパンタロンなど、彼らにとっては野暮の極みだったのです。しかし、フランス革命を境に「サン・キュロット (キュロットをはかない)」と呼ばれる市民階級が台頭したため、男性がはくものはパンタロンが主流となり、それが今日のズボンやパンツにつながっています。パンツ(Pants)の語源はこのパンタロン(Pantaloons)の省略形といわれています。
●そしてパンツは女性と日本へ●
19世紀半ばにアメリカのブルーマー夫人が、女性復権運動の一環としてスカートの下にはく女性用ズボンを開発し、普及活動をおこないましたが失敗。しかしそのズボンは、19世紀後期にサイクリングを始めとする女性用のスポーツウェアに採用されます。お察しのとおり、今はあまり見なくなったブルマの語源はブルーマー夫人の名前からです。また第一次世界大戦から女性も工場などで働くようになり、そこの作業着に使われたことから女性がズボンをはく習慣が始まりました。
日本にはじめて伝わったズボンは、室町時代にオランダから伝わった軽衫(かるさん)だといわれています。動きやすいため江戸時代の大工、左官、魚屋などによく使われました。都市部で華やかな小袖文化が流行するにつれ、軽衫は股引として農家の仕事着に主に使われるようになりました。ズボンは日本だけの呼び名であり、語源はフランス語でペチコートを意味するjuponがなまったものという説と、はくときの「ズボン」という擬音からという説があります。